床の間

床の間の壁。

マンションでも、戸建でも、和室には床の間がある場合が大半です。

床の間も、人によって使い方はいろいろ。

物置にする人もいれば、

生け花や掛け軸を飾る人もいます。

 

そんな床の間も、こだわる方はこだわります。

今回の工事は、

「床の間の壁に貼ってある壁紙が破れたので、

今と同じ素材で修繕してください」

という依頼でした。

 

現地調査にお伺いしてみると、

立派な「寒山拾得(かんざんじっとく)」の掛け軸がお出迎えしてくれました。

寒山拾得、好きです!

 

壁紙は絹の織物壁紙。

下地は障子の桟のような組子下地。

なんだか文化財の修復に近い仕事です。

 

壁紙は同じ柄、素材の商品は当然のごとく市販品はなく、

糸の色、太さ、柄の再現、織った布を壁紙に加工…

試作品を何点か製作するまでに3か月以上かかりました。

それでも、誰もが納得するためにお客様と打ち合わせを重ね、

納得できるものができあがりました。

 

下地は、障子の桟のような組子ですので、

ボード下地のように壁紙を直貼りできません。

ですので、文化財の修復で使う技法で、和紙を貼り重ねて下地を作り、

作成した織物壁紙を貼ります。

また、壁の隅、上下左右4辺には黒いフチが取り付けてあり、

これは、四分一(しぶいち)という日本伝統の見切り材で、

これも市販はされていないので、作成しました。

ちなみに漆塗りです。

 

とても楽しくお仕事をさせていただいたお客様に感謝です!

趣味の掛け軸、楽しんでください!