旧唐津銀行本店(佐賀県唐津市)
旧唐津銀行は、1912年(明治45年)に建造された建物です。
建物に関する情報は、他のサイトなどでも詳しく紹介されていますので
説明は省かせていただきます。
外観写真は、まだ工事が完全には終わっていない状態だったので、フェンスなどの
囲いが残っています。
当然のごとく、昔の建築物は昔の技術で建てられています。材料も昔ならでは。
ベニヤ板や石膏ボードなどが発明されたのはつい最近のことです。
じゃぁ昔はどうやって壁や天井を作っていたかというと、下の写真のようになっているわけですね。 写真は自分が訪れた際の最初の写真です。
上の写真では分かりにくかったですが、
木の板をくぎで壁全体に釘打固定してあります。
木の板は『木摺り(きずり)』と呼ばれています。そして、紙が接着しやすいように、 表面が毛羽立って、ひげが何本も出ている様なので、 『髭付き木摺り』と呼ばれています。 そんな下地の上に和紙を何回も貼って、 凸凹や隙間をカバーしていたんですね。
下の写真の黄緑色が一番新しい、古い壁紙です。 (2回程貼替えしてあるようでした。)今回はこの壁紙を復元製作して貼る予定です。
写真の古い壁紙は、今貼ってある状態のままにして、この上に新しい壁紙を貼っていきます。何十年後かに貼替えとなった時に、また発見されるんでしょうねぇ。なんだか楽しみです。 木の板に貼ってある和紙は、銀行ならではなんですかね。昔の銀行で使っていた書類でした。 『金弐萬円也・・・』いろいろと書いてあり、 見ているだけでおもしろかったです。
未晒し(漂白していない)の、 様々な厚さ、重さの和紙を様々な方法で 壁全体に貼っていきます。 下の写真は和紙での下貼りが完了した状態です。 とてもきれいで満足のいく仕上がりです。
下の写真のように、復元した壁紙を裁断していきます。
裁断は、カッターなどではなく、包丁を使用します。
下の写真は、復元した壁紙のアップ写真です。
光の加減で見えたり見えなかったりするような柄も、忠実に再現されています。
下の写真のように、裁断した壁紙に小麦などから作られた 正麩糊(煮糊)を刷毛で塗布して、 柄を合わせながら慎重に貼っていきます。
これで壁紙貼り完了です。
とてもきれいに仕上がったので、一般公開されるのが楽しみです。
次は リノリューム貼 です。